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防災研修と模擬体験で防災行動力を身につける

東京都には防災訓練の施設が数か所あり、模擬体験を含めた研修が無料で受けられるようになっています。日本に住み慣れていない外国人は災害時に不安になりがちです。外国人就労者がいる職場や語学スクールでは、いざという時に備えて研修を受けておくことがおすすめです。

体験レポート:防災研修と疑似体験

東京都の墨田区にある本所防災館(東京消防庁 本所都民防災教育センター)で防災研修に参加した際のレポートです。研修内容は、実際に災害が起きたらどう行動すべきかを具体的に教えてもらいながら、地震、暴風雨、火災を模擬体験し、「防災行動力を身につける」というものでした。

今回参加した研修はツアー形式になっており、一日4回、所要時間1時間50分の基本プログラムです。(日本語です。)団体は事前に予約申し込みをして参加します。個人は予約なしで参加できますが、予約済の団体が優先になるので、場合によっては待つことになったり、利用できない可能性があり、個人の場合も事前に予約しておくのが確実です。 詳細は公式ウェブサイトでご確認ください。

先ずは災害の怖さを理解することからスタート

体験学習はビデオ鑑賞でスタート。東日本大震災が起きた直後の映像が流れ、25分ほど見続けます。目の前に映し出されるあの日の惨状。恐怖と悲しみで息苦しさを感じはじめます。いよいよ見ているのが辛くなってきた頃、ようやくビデオ上映は終了しました。精神的な動揺を引きずった状態で場所を移動し、実践的な研修に入っていきます。


イメージ写真:実際は上映室で見ました。英語の字幕がついていました。

地震に備えるための対策を学ぶ

地震が起きる前に備えておくべき対策を学びます。参加者はみな、ビデオ映像がまだ脳裏に焼き付いている状態。真剣に聞き入ります。『水道水は涼しいところなら3日程度は常温で保存できる』、『揺れが起きたらどう行動するか日頃から考えておく』等、具体的な対策を教えてもらいます。

大地震の揺れを模擬体験

いよいよ大地震の揺れを模擬体験します。単に揺れを体感するだけでなく、「クッションで頭を保護」、「ドアを開けて、避難経路を確保」、「電気のブレーカーを落とす」という一連の動作をワンセットで実践します。大きな揺れで放心状態になっても、やるべき事をやる、を学ぶ体験です。

地域イベントの会場などで、起震車を体験している人を見た時は「なんだか楽しそう」、と思ったことがありましたが、実際は楽しいとか怖いと思う余裕すらない状態でした。震度7度では固定したテーブルにしがみついているがやっとです。床に打ち付けられる痛みも覚えました。起震車で体験している人が楽しそうに見えるのは、感情が混乱して笑い顔になっているだけなのかもしれません。


大地震の揺れを模擬体験。震度6と震度7では、揺れに大きさな差があります。動揺しつつも、揺れの後にブレーカーを落とし、ドアを開けて出口を確保。

台風と大雨の威力を知る

地震を揺れを体験した後は、暴風雨の模擬体験です。最近は台風だけでなくゲリラ豪雨も多発傾向。明日は我が身です。

厚手のレインコートをしっかり着込み、長靴を履いて完全防備で暴雨体験室に入ります。指示に従い補助棒のある場所に並んで立つと、前方から強風と共に雨(水)が噴き出してきました。

補助棒に捕まっていないと身体が後ろに流されるほ強風の中、打ちつける雨に耐え続けます。レインコートのおかげで顔以外は濡れないものの、次第に身体が冷えていくのを感じます。わずか2,3分程度の時間でしたが、身体が冷えることで体力が奪われていくリスクを実感しました。

消火訓練

消火器の使い方を説明してもらい、実際に消す作業を映像でシミュレーションします。消火器は見慣れてはいるものの、使い方をよく把握していませんでした。消火器が消化対象ごとに異なり、ラベルで色別されていることも知りませんでした。

消火器の種類
白ラベル:一般火災用
黄ラベル:油火災用(灯油、ガソリン)
青ラベル:電気設備100V,200V用

一番大切なのは、「火事だー!」を大声で叫んで周囲に火事を知らせること。先ず、思い切り叫んでから素早く消化態勢に。消火器と火の距離は3メートルを確保し、ピンを抜く レバーを引く、の手順で火元めがけて噴射します。消火剤は15秒ほどでなくなります。

火災現場からの避難

最後の模擬体験は火災現場からの脱出です。先ずは講師の話を聞きます。元消防士の講師が火災現場の生々しい実体験を語りながら、対処法を説明してくださり、みんな静かに耳を傾けます。


けむりは1秒に3~5mの速さで広がるそうです。

火災での死亡は煙を吸って一酸化t炭素中毒によるケースが多いとのことでした。一酸化炭素は無味無臭。だんだん身体が動かなくなるとのこと。煙がまわる速さを考えると、走って逃げるのは無謀です。煙は上に向かうので姿勢を低くして壁伝いに素早く歩いて逃げます。

火災現場からの脱出するポイントは;

1.移動の際、扉は少し開けてみてみる。いきなり開けない。
2.開けた扉は必ず閉める。
3.壁伝いに逃げる。手のひらはグーにして壁を探りながら進む。手のひらをパーにすると指をケガする危険がある。
4.方向が分からなくならないよう、壁を探る手は途中で変えてはいけない。

対処の仕方を教わり、紙にメモまでして臨んだ避難体験でしたが、実践すると思うように行動できませんでした。ほんの十数メートルの単純な迷路にもかかわらず、けむりで視界が悪く、明るい部屋から急に真っ暗な部屋に入った瞬間に慌てて方向感覚を失いました。無事に出口から出てほっとしたところ、手のひらがパーになっていたと、指摘を受けました。思えば姿勢も高くなっていたので本物の煙だったら・・・。防災の知識をみにつけるだけでなく、災害時の自分の心のありようを把握するという貴重な体験でした。

関連情報

防災体験学習(そなエリア東京)
Tokyo Rinkai Disaster Prevention Park

http://www.tokyorinkai-koen.jp/pdf/pamphlet_en_2.pdf
(PDF)

東京消防庁 本所都民防災教育センター
Honjo Life Safety Learning Center

http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hjbskan/

東京都北区防災センター(地震の科学館)
Kita city Earthquake Science Museum

http://www.city.kita.tokyo.jp/bosai/bosai-bohan/bosai/shobosho/kagaku/

東京防災ホームページ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/

digi-joho 英語版記事:Natural disaster drill and experience program at Safety learning center in Tokyo

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