愛宕山:オフィス街にひっそりとある東京23区で最も高い山

外国人旅行者向け情報(日本語版)。ローカルな都心の観光スポットを紹介。


愛宕山は東京タワーと虎ノ門ヒルズ近辺にある小さな山です。山頂には400年以上の歴史がある愛宕神社があり、近代的なビルが立ち並ぶエリアにありながら、木々に囲まれた緑豊かな場所になっています。神社へと続く石段は「出世の石段」と呼ばれており、上るも下るも“チャレンジ”と思わせるきつい傾斜で知られています。

東京23区で一番高い山

東京都の中心エリアは、東部のいわゆる「下町」と呼ばれる平地と、南西部の「山の手」と呼ばれる台地という地形から成っています。愛宕山は南部の丘陵地域の一角に位置し、標高はわずか26m。それでも、東京都23区内で最も高い山です。 

大型ビルに囲まれ、近辺は坂が多い場所になっていることから、山とは気づかないような存在になっていますが、江戸時代は海まで見渡せる風光明媚な行楽地でした。

Atagoyama

 愛宕神社の出世の石段

愛宕山のふもとから山頂の愛宕神社までは、急勾配の石段があります。傾斜角度は37度。見上げると圧倒される角度です。この石段は「出世の石段」と呼ばれています。その昔、将軍(徳川家光)が近くを通りかかり、山頂にあった梅の花を取ってこいと連れの一行に命を出しました。誰もは怖気づき躊躇しましたが、一人の侍(曲垣平九郎)が馬に乗ったまま石段を駆け上がり、見事に上りきって梅の花の献上に成功しました。後にその侍は「日本一の馬術の名人」として名を馳せるに至り、以来、愛宕神社の石段は「出世の階段」と呼ばれています。

歩くのさえ大変な石段を馬に乗って駆け上がるなど、ありえないそうにない偉業なので物語上の話と思わがちでしたが、近年に入って同じ挑戦をした成功者が現れ、その様子のビデオ映像がテレビで紹介されてから、今では実話として広く知られています。

この逸話を元にいつしか「出世の石段」を上ると出世できる、という願掛けが生まれ、また、実際にどれほどの傾斜なのかを見たいという思いから、愛宕神社を訪れる人は少なくありません。愛宕神社の敷地内には木々が茂り、池には錦鯉が優雅に泳いでいます。オフィス街にありながらほっとする空間です。神社の近くには「NHK博物館」(入場無料)もあり、近くまで行く機会がある時は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

Atagojinja 

Atago-jinja Shrine in Tokyo

行き方

最寄りの駅は地下鉄「日比谷線」の「神谷町駅」です。3番出口から歩いて5~10分です。愛宕トンネルの脇にある、山の裏手の階段を上れば5分ほどですが、出世の石段を上るには少し遠回りになるので10分ほどかかります。

急勾配の「出世の石段」(=男坂)を歩いて上るのが辛い場合は、その右側にあるゆるやかな階段(女坂)を行けば多少は楽に登れます。もっと楽をするには、出世の石段の左側、愛宕トンネル出口にあるエレベーターが便利です。

港区の愛宕山周辺地図

その他情報

● 愛宕山は春は若葉、秋は紅葉が楽しめます。自然豊かな場所なので、夏場は蚊がいるかもしれません。虫よけ対策をしていくと安心です。

● 愛宕神社では結婚式を挙げることができます。有名俳優の結婚式があり話題になりました。

関連情報:「愛宕」とは?

愛宕神社は防火の神を祀った神社です。京都にある愛宕神社を総本山とし、同名の神社が日本各地に存在します。愛宕山の多くは愛宕神社と関連があり、神社同様に愛宕山と呼ばれる山がいくつも存在します。

English (digi-joho TOKYO)
http://tokyo.digi-joho.com/attractions/atagoyama-minatoku-tokyo.html